ラバスト自作の記録

ラバストっぽいものを試作してみる 型をレジンで作る

(2014/03/23)

ラバストっぽいものを試作してみる 型取り編」の、レジンで型を取る場合の補足説明です。

こんな感じで型を取ってます、というだけなので、この通りに作業する必要はまったくありません。
一例としてご覧ください。

レジンの詳しい使い方は画像付きで分かりやすいサイト様が沢山ありますので、いろいろ検索してみてください。

レジンを使う理由

レジンを使う理由は、液体なので細かい所まで型が取れるからです。
型取り用のシリコンも液体なので同じく綺麗に出来ますが、実物をシリコンで作るため、シリコンの型は使いたくありません。
シリコンの型にシリコンを流す事は可能ですが、剥離剤が少なかったり塗り残しがあるとシリコン同士がくっついて悲惨な事になりそうなので、怖いのでなるべくやりたくありません。
(シリコン同士の剥離剤には専用の製品もありますが、石鹸水やラッカー塗料も使えます)

レジンは硬化時に収縮したり、硬化後も時間が経つと歪んでくるといったことがあります。
しかしシリコンで実物を作ってしまえば型に用はなく、そんなに神経質になるような使い道でもないので大丈夫だと思います。

レジンはそもそも型を取るためのものではないと思いますが、今回の用途ではあまり気にしないことにします。

レジンを少量で買うのは難しいですが、
2kgで3600円の商品を50g使ったとして計算すると、1個あたり90円くらいで済みます。
おゆまると違って再利用はできないし、はかり等が必要ですが、
液体を流し込むだけなので細かい所も綺麗だし楽です。

用意する物



1.レジン
フィギュアを自作する時に使ったりする、ポリウレタン樹脂を使います。
A液とB液を混ぜ合わせると硬化します。
写真のやつはWAVEレジンキャストEXのノンキシレンタイプ、色はグレーです。2kgで3600円~3000円くらいで売ってます。

2.手袋
使い捨ての薄いやつです。

3.割り箸
レジンを混ぜるのに使います。
割り箸に含まれる水分が気泡の原因になることがあるので、本当はポリプロピレン製の平たい棒の方がいいです。

4.紙コップ
これにレジンを移して混ぜます。使い捨てです。
上記の割り箸と同じ理由で、本当はPPかPE製のカップの方がいいです。なるべく湿気を含まない材質で…

5.はかり
デジタル表示のものが見やすくてよいです。


最大500gまで、0.1g単位で量れます。
1g単位でも大丈夫ですが、少量のレジンを量る時は0.1g単位で表示されると誤差が少なくて安心です。

レジンを流す

まず、原型を作っておきます。→原型編-ビニールマットで原型を作る


原型はビニールマットで作りました。
材質によってはレジンとくっついてはがせなくなるので、確認してから作業してください。
(写真を撮り忘れたので、1回型を取った後の原型を使って説明しています。そのため原型の隙間にレジンが入り込んで白くなってます…)

ビニールマットが浮いたりレジンの熱で曲がらないように、ポリプロピレンの板に貼ります。

ビニールマットの耐熱温度は60度~70度くらいです。
レジン硬化時の熱は、大きいパーツだったりレジンの量が多いとそれ以上の温度になると思われますが、
今回作る型は平たい形なので多少は熱も放出されやすいし、ビニールマットが曲がりはしても溶ける事はないと思いますが自己責任でお願いします。

ポリプロピレンの板は100均に売ってたのをカットして使いました。
ある程度曲げられて、レジンの熱で歪まず、レジンにくっつかない材質のものならなんでもいいです。


両面テープで貼りました。


レジンを流し込めるように、周りを囲います。
紙とガムテープを使って箱状にします。


紙の上に原型を置いて、


周りをガムテープで貼り、


折って箱状にします。


原型の部分だけきれいに型取りできればいいので、
四隅の折った部分は適当です。
ガムテープが重なった部分が浮いていたり、多少汚くても問題ないです。

レジンに水分は厳禁なので(水分や湿気があると発泡する)、なるべくガムテープではなくPPテープとか幅広のセロテープ等の方がいいと思いますが、ガムテでやってます。

後で原型をはがしやすいように、シリコンスプレーを吹きかけておきます。
ただ吹きかけただけだと、シリコンスプレーが水滴状に付いてしまうことがあります。
そうなると気泡の原因になるので、綿棒やティッシュなどで塗り広げて伸ばしておきます。
シリコンスプレーはホムセンで売ってる200円~300円くらいの安いやつを使いました。

造形用の高いシリコンスプレーはシリコン型を保護して長持ちさせるために使うんですが、
今回はシリコン型じゃないし、一回型を取るだけなので原型を保護する必要もないので、
ぬるぬるしたものを塗ってレジンからはがれやすくなればいいや、と思ったので安いシリコンスプレーを使いました。
まあ塗らないよりはマシだろうということで。
リップクリームなどを塗ってもいいと思います。


レジンを量り、A液とB液をよく混ぜて、泡が立たないように静かに流し込みます。
写真は硬化後です。見た目が一部汚いですが一応固まっているのでよしとします。
レジンは硬化すると少し収縮します。

パーツが大きいほど発熱し、早く硬化します。
また、気温が高いほど早く硬化するみたいです。

製品によっては硬化後しばらくは脆いとか欠けやすいとかあるみたいですが、他の製品は使ったことがないので分かりません。
硬化してもすぐに外さず、しばらく放置しておくと欠けにくくなるらしいです。

大体5分~15分くらいで固まります。
硬化後すぐは結構臭いので、さらに30分くらいそのままにしておきました。

原型をはがす


周りの紙の部分を破いてはがします。
ガムテープを貼ってあるので、簡単にはがれます。


ポリプロピレンの部分もはがします。
この時、原型のビニールマットの部分も一緒にはがれてくれるといいのですが、
ほとんどの場合レジンにくっついて残ります。


慌てずにポリプロピレンの部分だけはがしました。
両面テープで貼ってあるだけなので、バリバリとはがれます。


ビニールマットは透明なので、気泡が出来ているとこの時点で分かります。
気泡もなく、溝もばっちり綺麗に出来ました。よかった!!


隅のほうにカッターを入れて、原型を少し浮かせます。
ビニールマットの部分に斜めにカッターを刺して、持ち上げるようにするとレジンに傷が付きにくいです。
万が一傷が付いても削って直せる、又は諦められるような端の部分でやります。


少し浮きました。


後はピンセットを使って静かにはがしていきます。


横に引っ張るのではなく、上に持ち上げるようにしてはがします。


案外レジンは割れません。でも一応そっとはがします。


無事はがしました。


よく見ると一部のパーツがレジンに残っています。
透明なので見にくいですが、
つまようじ等でつついて溝を確認すると残っているパーツを簡単に見つけることができます。
細かいパーツはレジンにくっついて残りやすいです。
(パーツが残っているのに気づかずにそのまま放置して、後でシリコンを流すときに気がついたこともあります…)


カッターの刃を入れて持ち上げるようにして浮かせます。
つまめる部分ができたら、ピンセットでつまんで取ります。


型が出来ました。
レジンの色がグレーなので、凹凸も見やすいです。


周りは汚いですが、問題ないです。
尖っている所は当たると痛いのでカッターで削ります。


レジン硬化時の収縮により、周りが尖っています。
手を切りそうで危ないので適当に削っておきます。
よく切れるカッターを使うと簡単に削れます。


型を取り終わった原型。
ビニールマットを貼り合せた際に接着剤がちゃんと付いていなかった部分にはレジンが入り込んでいます。
こんな隙間にまで入り込むとはさすがレジンですね!

できたレジン型はしばらくは少し臭いので、
1日~2日くらいは外やどこか離れた所に放置しておきます。
(固まってもしばらくはゆっくりと硬化が進んだり揮発したりしているらしいです)

次の工程に進む前には洗剤で洗っておきます。
フィギュアを自作する時と違って塗料を塗るわけではないので、そんなにごしごしと洗わなくてもいいです。
洗剤もクレンザーではなくただの台所用洗剤だったり石鹸だったりです。
うっかり手が滑って傷が付いたり溝が欠けたりすると面倒なので、ざっと洗う程度にしています。

補足ではラッカー塗料を塗っていますが、この塗料は後々はげてもまた塗り直せばいいだけなので問題ないです)

失敗した話

・気泡ができた
原型にシリコンスプレーを吹き付けた際に、水滴状になっていたようだが気が付かずにそのままレジンを流したら気泡が大量に出来ていたことがありました。
スプレーした後にティッシュなどで塗り広げるようにしたら解消しました。

・気泡ができた その2
ある程度レジンを流し込んで、原型に気泡が付いているのが見えたら、
ようじや竹串などを使って気泡を絵柄の外や上の方に移動させます。
絵柄の表面部分が綺麗ならばとりあえず問題ないです。
硬化前でまだ液体状であれば移動できます。
小さい気泡を消すのはなかなか難しいです。

・気泡の補修
気泡ができてしまったら、パテなどで補修します。
溝がうまく取れなかった部分も、パテやレジンの欠片などを使って直します。
(場所によっては補修するのも大変ですが)
補修が面倒くさい場合は、型を取り直すか、妥協します。

・気泡ができたし原型も大破した
うまく型が取れず、さらに原型もはがすときにバラバラになったこともありました。
仕方ないので最初から作り直しました。
シリコンスプレーを塗り忘れるとレジンからはがすときに苦労します。
苦労するだけで、完全にくっついてはがせないことはありません。
(※ビニールマットの場合です。材質によってはシリコンスプレーを塗ろうが塗るまいが完全に貼り付いて取れません)

注意

レジンを使う時に一番重要なのは「換気」と「発生したガスを吸わない」だと思います。
風通しの良い所で、保護メガネ、手袋、マスクなどを装着して作業してください。
(普通のマスクでは有毒ガスを防げないので、防毒マスクがよいです)
肌の弱い方はかぶれたりすることもあるらしいです。

レジンは扱いさえ気をつければ難しくないです。
自分の好きな形の物をいろいろ作ったりできるので、工作の幅も広がるし面白いです。

できた型にシリコンを流してゴム板に貼る

できた型にシリコンを流して、ゴム板に貼ってストラップにするとこんな感じになります。


ゴム板をシリコンにそろえて切った方が見た目すっきりするかと思って切ってみましたが、
強度やシリコン部分の保護の面から考えると、上の画像のように少し余裕を持ってゴム板を切った方がいいかもしれないです。


シリコンだけだとストラップを付けたときに強度や裂けが心配なので、ゴム板に貼っています。
シリコンはホコリが付きやすいです。セロテープなどでぺたぺたやるとホコリが取れます。

横から見た写真。


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